朝日が語るSK-2
朝日新聞は小人民日報なのか。
日本製の化粧品や食品の品質を問題視する事件が中国で相次ぎ、波紋を広げている。大規模な騒動となった高級化粧品「SK(エス・ケー)―2(ツー)」は、中国市場で販売再開のめどが立たないまま。食品では詳細な情報が中国側から提供されず、日本政府は対応に苦慮する。日本への狙い撃ちとの見方もあるが、消費者の安全意識の高まりなど様々な事情がからんでいるようだ。
●販売めど立たぬ「SK―2」
上海の高級百貨店では、SK―2の専売コーナーの取り壊しが進む。配合が禁じられているクロムなどの成分が当局の検査で検出され、一時販売停止に追い込まれたからだ。返品・返金を求める消費者が同市のオフィスに殺到し、玄関扉が破壊される事件も起きた。
美容液が880元(約1万3000円)などSK―2は日本円で1万円前後の商品が多く、中国都市部の月収に相当する超高級品だ。外資系で働く30代の中国女性は「水銀入りの国産化粧品が摘発されるなど、安全性へ関心が高まっている。信用と期待が高い輸入品には反発も激しい」と話す。
SK―2は米P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)傘下のマックスファクター(神戸市)が生み、現在はP&Gの化粧品ブランドとして日中韓や米英など12カ国・地域で売られている。シンガポール、台湾、香港、EU(欧州連合)の当局や業界団体は安全を宣言したが、中国大陸では騒動が続く。
問題の成分についてP&Gは「配合はしていない。水や土に微量に含まれるため混入の可能性もあるが、中国当局による検出量はWHO(世界保健機関)が『食べても安全』とする量よりはるかに少ない」と反論。日本政府も中国政府に、化粧品成分の詳しい規制情報の公表を要請した。
中国では05年、SK―2で皮膚炎を起こしたとする訴訟が起き、ネット上でボイコット対象の日本製品に加えられることもあった。今回も日本製を強調した報道が目立ち、「(日本を狙い撃ちする)政治的な理由がある、と疑念を持たれるのを避けられない」(香港紙、明報23日付社説)とする論評も出始めた。
こうした批判を意識してか、中国商務省系の新聞、国際商報は最近、ケンタッキーフライドチキンなどでの食品安全を巡るトラブルを挙げて「国際企業と消費者の紛争が増えている」とする記事を掲載。その中で「(外資は)輸出先の法律や基準にあわせるべきだ」として、中国独自基準の正当性を強調している。
●農薬規制に報復の見方
中国では日本製食品への圧力も強まる。中国政府は6月から強化した安全検査で日本産の冷凍タコやサンマ、魚肉ソーセージなど約30品目から、中国の基準値以上のヒ素などが検出された、と公表。日本政府にも8月下旬に通報があり、管理の厳格化を求めているが、日本側には「報復」との見方が広がっている。
日本政府が5月末に、国産・輸入を問わず食品の残留農薬に対する規制を強化し、中国の農産物の対日輸出が6月時点で2割近く激減。中国商務省が「公平性に問題がある」と反発した経緯があるからだ。
検査の厳格化により、日本からの食材調達が遅れた飲食店が一部に出ている、との情報もある。ただ、政権交代で日中関係の改善も期待されるだけに、日本政府は、安全性をめぐる騒動が、新たな摩擦の火種になることを恐れている。
「何ですかね、この時期に」。中川農林水産相(当時)は9月中旬の記者会見で不快感を示した。日中貿易では、01年に日本が中国産のネギなど3品目に緊急輸入制限措置を暫定発動し、中国が日本製自動車などに報復関税をかけて混乱した過去がある。松岡農水相は29日、「冷静に誠意を持って話せば、道が開ける」と話した。
厚生労働省は、中国側に事実関係や基準の詳細などを照会中だが、「返答がないので輸出業者や生産地が特定できず、注意を促そうにも難しい」(監視安全課)。農水省も中国側から回答があれば、業者に中国の基準の順守を指導し、事態の沈静化を待つ構えだ。
中国産の茶、玩具、電気製品などの安全性をめぐり、EUは中国政府間と日常的に対話の機会を設けている。この点で、日中間では「当局間の連携や意思疎通に滞りがある」(中国紙記者)との指摘もある。
2006年10月01日03時02分 朝日新聞
以前のエントリーで触れたことを軽くまとめます。
- クロムは自然界に普通に存在し、地球で21番目に多い元素であり、人の体内で糖の代謝に関わっていて生命維持に不可欠
- クロムの過剰摂取は健康障害を引き起こすが、許容摂取量は成人で1日当たり0.25mg
- SK-Ⅱのクロム含有量は、クリスチャンディオールのキロ当たり4.5mg以下。ファンデーションが通常10g~13gで販売されていることを考えると、1製品当たり0.04~0.06mg以下
- 中国には当然ながらSK-Ⅱの模造品が存在し、市価の6割ほどで卸されて市民に大人気。そして国内化粧品の水銀入りが摘発される。水銀入りの模造品を使えば皮膚炎を起こすのは当然。
- 日本のポジティブリスト制度は国産・輸入を問わない。
- 中国は中共による完全な報道管制が整備されており、新聞発表は政府発表と同義
- 朝日新聞が中共の擁護記事を書いたのは今回で2度目(関連エントリーわかりやすい偏向報道③)
普通にニュースサイトを見ているだけでこのぐらいの情報は普通に入手できます。今回の朝日の記事内容は、読者を馬鹿にしているとしか思えません。
“国産・輸入を問わず食品の残留農薬に対する規制を強化”して、“中国の農産物の対日輸出が6月時点で2割近く激減”したのは中国側の農作物の生産方法に問題があるからです。にもかかわらず、中国商務省が“「公平性に問題がある」”と反発したのは言いがかり以外の何者でもない。
ポジティブリスト制度はあくまで、国産・輸入を問わず適用される公正な制度です。それを「公平性に問題がある」など言いがかりをつけられれば、ルールを守って生産する日本の生産者が馬鹿みたいです。そもそも、安全性についての意識の高まりを受け、中国独自の厳格な基準(日本の輸出基準以上)が国内生産品に適用されているならば、日本の輸入基準に引っかかるわけがない。
そしてその後に続くお決まりのフレーズが傑作です。“政権交代で日中関係の改善も期待されるだけに、日本政府は、安全性をめぐる騒動が、新たな摩擦の火種になることを恐れている”て何?。とてもBSE問題では食の安全を声高に叫び、一大キャンペーンを張った新聞社が書く内容とは思えません。米国はダメで中国はいいのか?ダブルスタンダードもいい加減にしてしろ。正義の味方、朝日新聞ならば“新たな摩擦の火種になることを恐れず法は法として、厳格に適用されなければならない”ぐらい書いて政府を牽制することぐらいは朝飯前だろう。
2001年の日本のセーフティガード発動による中国の報復措置は、ある意味、日本の保護主義が招いた結果であるといえます。しかしながら、今回のポジティブリスト制度導入による中国野菜の輸入制限はその性質がまったく違う。
前回は日本の輸入制限対して中国も輸入制限で応じたわけですが、今回は、日本の安全基準に対して中国も安全基準で対抗してきたところにそもそもの間違いがあります。それは見方をかえれば、法治国家日本対人治国家中国の争いであるといえるでしょう。
そういった意味で“「(外資は)輸出先の法律や基準にあわせるべきだ」として、中国独自基準の正当性を強調”するくせに、“厚生労働省は、中国側に事実関係や基準の詳細などを照会中だが、「返答がないので輸出業者や生産地が特定できず、注意を促そうにも難しい」”という現在の状況は、輸入禁止措置にまで発展した中国政府の措置に明確なルール(法)が存在しないという証明にもつながりかねず、中共は非常にまずい状況に追い込まれているといえます。
ルール(法)が無いのにも関わらず、自国の利益の為だけに規制したことが判明すれば中国市場に対する国際的信用は地に落ちます。今までグローバル化の恩恵に預かってきた中国が、市場の公正性を保てないことなを証明することになれば中国経済は大打撃を受けるでしょう。
中川(酒)前農水相や松岡新農水相の言うように2001年とは状況が違うのです。日本は国産品・輸入品を問わない公平な基準を設けた上で、基準を満たさない中国野菜に規制をかけた。そして中国政府はその対抗措置として、質の高さゆえに輸入している日本産の農産物にいちゃもんをつけて不法な報復措置ををとった。この状況でどちらが保護主義だといえば、間違いなく中国の方です。
朝日新聞は最後にEUと中国間の関係に触れ、中国紙記者(中共の代弁者)の“「当局間の連携や意思疎通に滞りがある」”という発言を紹介し、まるで今回の中共の不法行為による異常事態が“日中関係の冷え込みの所為=靖国参拝の所為”だと言わんばかりの締め方をしています。
朝日新聞もいいかげん日中間で何か問題があるたびに靖国参拝の所為、日本の所為にするのはやめていただきたい。日本を代表する新聞社であり、そのプライドもあるならば、きちんと問題の起こった背景を熟慮し、日本の立場に立ったとは行かないまでも、せめて公正な記事を書いていただきたいものです。
今回の事態はほっといても沈静化するでしょう。そして、おそらくこの件で中国側から明確な回答を得られることはまず無い。つまり中国とはそういう国なのです。
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