減速する中国経済
一見好調に見える中国経済ですが、徐々に減速傾向にあるようです。
中国から輸入する製品価格の上昇傾向が鮮明になってきた。2005年10月に前年同月比プラスに転じて以降、今年6月まで9カ月連続で上昇。原材料の値上がりや中国人民元相場の緩やかな上昇に加え、強みとしてきた低廉な人件費が高騰し始めたことがある。世界経済にデフレ圧力をもたらしているとの指摘も出ていた中国の低価格輸出が転機を迎えつつある。
中国からの輸入価格は財務省の貿易統計などをもとに食料品、一般機械、電気機械、輸送機械の分野ごとの加重平均で輸入通関時の価格の推移を算出。それによると、6月の輸入価格は前年同月比で4.2%の上昇となった。昨年10月にプラスに転じて以降、前年同月比での上昇率は2―7%台とばらつきがあるものの、上昇基調が定着している。
10/3 (07:01) 日経新聞
人海戦術で世界の工場として発展してきた中国が転機を迎えたようです。今までは力で人民を押さえつけ人件費を不当に低く抑えてつけてきましたが、相次ぐ暴動発生によって人件費が上昇し、その結果、高コストと政情不安を嫌って外資系投資が他のアジア諸国にシフトしつつあります。
今後も中国経済が成長していくためには、現在の薄利多売路線から抜け出し、高付加価値品を生み出すことが出来る産業構造への転換を図る必要があります。しかしながら、一応共産主義社会である中国では国営企業の自然淘汰がされず、産業構造の変化への対応が遅れています。
また、不安定な政情は中国企業の設備や研究開発などの長期投資を控えさせることにつながり、資本と技術をじっくり蓄積する環境にありません。勢い、投資は土地などの直接投資に集中しバブルの膨張が顕著となり、それが設備コストの高騰を招いて利益構造を圧迫するという悪循環を生み出しています。
結局のところ、中国の存続には外資系、つまり、日本の技術協力と設備投資が不可欠なのです。中国政府は先月18日~24日にかけて全国知的財産権保護キャンペーンを行い投資環境の整備をアピールしましたが、それに先立ち、日本の特許庁に使節団を派遣し、日本との協力関係を深めています。
そこに中共が日中関係改善に乗り出してきた理由があります。中共は小泉首相から安倍首相に交代したこの期を逃すことなく日中友好を演出し、何とか日本の投資を呼び戻したい。そして媚中派やサヨクマスコミを総動員して特に譲歩することなく日中首脳会談へとこぎつけました。
それに対して日本は、北朝鮮制裁に対して、なんとか中共の協力を得たいところですが、今回の北朝鮮の核実験発言に対しても中共は慎重な姿勢を崩しておらず、そう簡単には協力してくれそうにありません。今回の首脳会談の成否は、安倍首相が老獪な中国の外交戦術にとらわれることなく、日本は日本の主張をして、いかに中共の譲歩を引き出すかが鍵となります。「対話」で効果が無ければ「圧力」が必要です。安倍首相にはその覚悟を持って交渉に臨んでいただきたいところです。
今回の訪中に関してはいろいろな憶測が飛び交っていますが、8日の会談を待つより仕方ありません。良い結果を期待しております。
中共には「対話と圧力」が必要だと思う方はクリック!(人気blogランキングへ)
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
初めてコメントします。
最近ネット右翼(個人的には至極まっとうなブログですね)
を読んでいます。このブログも楽しみに拝見しています。
10年前ごろは考えられないくらい、みんなの考え方に変化がおきているのをひしひしと感じるこのごろです。やはりインターネットによってあらゆる情報が直接見聞出来ることで、みなの意識の変化につながっていると思います。
ところで、今回の記事自体には賛同するのですが、日経が何ゆえこの様な記事を掲載したか評論がありましたので参照ください。
「中国製品値上がりでデフレ脱却?ちょっと先走っちゃいませんか」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20061003/111068/ 日経BPのページです。
これからも意見の発表を頑張ってください
投稿: 金子 | 2006年10月 5日 (木) 09時42分