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2006年8月23日 (水)

犯罪人引渡し条約

外国人による犯罪への法の不備が深刻化しています。

記者の目:外国人犯罪 早期対策を=望月和美(浜松支局)

 国内最多のブラジル人1万8000人が住む静岡県浜松市で、ブラジル国籍の容疑者が帰国したため未解決となる事件が相次いだ。容疑者の居場所は分かっているのに、取り調べもできない。理由は日本とブラジルの間に「犯罪人引き渡し条約」などの取り決めがないからだ。

 容疑者が“逃げ得”した事件を取材するたびに納得できなかったが、日本が同条約を結ぶ国は米国と韓国しかなく、過去10年で実現した引き渡しは6件だけと知り、さらに驚いた。急速な国際化に、法の整備がついていけないのだ。容疑者の簡単な逃亡を許してはならない。この問題を放置すれば、まじめに働く在日外国人への偏見まで広げると思う。

 浜松市内のレストラン経営者、三上要さん(当時57歳)が店内で絞殺され、売上金約4万円が奪われたのは昨年11月だった。県警は翌月、現場に残った指紋から近所に住むブラジル人、アルバレンガ・ウンベルト・ジョゼ・ハジメ容疑者(34)の逮捕状を取った。しかし、容疑者は3週間前に帰国していた。県警は「条約がないから引き渡しは求められない」との説明に終始した。現場の捜査員は「苦労して容疑者を追いつめたのに。これまでもそうだった」と悔しがった。

 警察庁によると、国外へ逃げたとみられる外国人容疑者は昨年末現在で651人。うちブラジル人は86人で、中国人の281人に次いで多い

 国連は引き渡し条約の締結を各国に勧め、モデル条文まで示している。だが、実際の締結は容易でない。中京大の愛知正博教授(国際刑事法)は「引き渡しには、相手国が容疑者の人権を侵害しないかが焦点となる。死刑の有無など各国の量刑の違いや、身柄拘束後の扱いの違いが常にネックになる」と話す。

 ブラジルでは麻薬犯罪と国籍取得前の犯罪を除き「自国民は他国に引き渡さない」と憲法で定めており、条約を結んでも実効性は薄い。相手国に要請し、「国外犯」として現地で逮捕・起訴してもらう方法もあるが、ブラジルの場合は前例がない。警察庁国際部に聞くと「容疑者が日本に戻る可能性もある。長い目で見てほしい」との答えだった。これでは被害者や遺族はやりきれないだろう。

 今年3月、浜松市に近い湖西市の山岡宏明さん(42)と妻の理恵さん(40)は街頭で引き渡し条約の締結を訴える署名活動を始めた。夫妻は昨年、車を運転中に衝突事故に遭い、後部座席に乗せた長女(2)を失った。信号無視の疑いが強かったブラジル人は帰国。「一度でも本人が謝りに来るべきではないか」と始めた署名集めだった。地元ブラジル人たちも「今のままでは許されない」と署名に協力した。

 この動きをきっかけに、条約に対する県民の関心は高まった。国会議員も動き出し、麻生太郎外相は4月の参院外交防衛委員会で「容疑者をブラジル国内で処罰できるよう両国間で交渉する」と表明した。県警は別の女子高生死亡ひき逃げ事件で帰国した容疑者への処罰を要請すると決めた。三上さん殺害事件でも要請が検討されている。

 事態は改善に向かったとも見える。しかし、なぜ犯罪者の引き渡し問題は放置されてきたのか。私には、これまでの政府が在日外国人の問題に真剣に取り組まなかったことの裏返しに思える。

 在日ブラジル大使館のパウロ・タヒセ・ダ・フォウントウラ参事官によると、ブラジルは03年以降、出稼ぎ先から子供の養育費を送金しないなど、同国では罪に問われるケースを含む民事手続きの迅速化や司法協力を日本に求めてきた。そのたびに日本は「優先事項ではない」と回答したという。参事官は「これまで消極的だったのに、今になって特定の事件をきっかけに交渉を始めるべきではない」と困惑を隠さない。

 外国人の受け入れを緩和した90年の出入国管理法改正から16年がたつ。職を求めて来日する外国人は増え続け、定住する人も多い。工場で働くブラジル人が多い浜松市や愛知県豊橋市、群馬県大泉町などは01年、「外国人集住都市会議」を結成した。社会保険への加入や子供の就学が徹底されるよう政府に訴えてきたが、進展はほとんどないままだ。受け入れ緩和から16年たっても、政府は在日外国人を「労働力」としか見ていないのだろう。

 ブラジル人の事件を取材するたび、「同国人として恥ずかしい」というブラジル人の言葉を聞いた。秩序を保ち、犯罪を許さない社会の基本は法にある。国際化は今後も加速する。政府は外国人を取り巻く法律の整備を急ぐべきだ。

毎日新聞 2006年8月22日 0時16分

 「犯罪人引渡し条約」が米国と韓国間にしかないとは驚きです。この先、政府はブラジルとの交渉を通じて、こういった障害を解消していくことも重要ですが、こういった情報を十分に周知させることなく、外国人労働者の受け入れのみを優先してきた受け入れ側の企業にも大きな責任があります。

 特に、派遣として働く外国人の社会保険の未加入問題は深刻です。日本人を含めた派遣会社勤務者の社会保険加入の義務化、もしくは、派遣業そのものの規制を強化する必要があります。また、受け入れ側の企業も、地域コミュニティへの援助や子供の就学に対する地域への働きかけなどを積極的に行っていく必要があるでしょう。社員への福利厚生は企業の義務です。

 文中にあるように、法の不備による定住外国人への不満は、やがて外国人排斥へと発展していく可能性があります。そうならない為にも法の整備を早急に行い、犯罪者の取り締まり強化や、社会保険加入の義務化労働環境に問題のある企業には指導に入るなど、両者の不満を取り除いていく努力が必要です。

 ブラジル人は基本的に契約を重んじ、与えられた仕事をやり切る責任感は日本人と比べて遜色はありません。そのため勤務先の工場などでも非常に重宝されているようです。ただ、ブラジルという国情を考えると、日本人と比べて論理観や道徳観に違いがあるのは確かです。住民どうしが理解しあえる場や、相談所などを作って、地域から孤立しないようにする努力も必要でしょう。

 さて。文中何気なく出てますが、中国人の281/651、ブッチギリのとんずら率43%が見事にスルーされている事は大変な問題です。スルーしているのに圧倒的な存在感毎日新聞は特定アジアの犯罪も積極的に報道して、その危険性を周知するべきですね。加えて法整備を早急に行い、ビザ配給も厳しく制限して、不逞外国人の徹底排除を行い、住み良い環境を作り上げましょう。

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コメント

不貞じゃなくて不逞です。

投稿: まみこ | 2006年8月23日 (水) 12時05分

ご指摘ありがとうございます!
修正しました。

投稿: takayuu@管理人 | 2006年8月23日 (水) 15時27分

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