« わかりやすい偏向報道 | トップページ | 小沢代表が太鼓判 »

2006年8月 4日 (金)

いわゆる「言論NPO」

日中共同アンケートを実施し、「東京・北京」フォーラムを主催した「言論NPO」とはどういう組織なんでしょうか?

まずは、各紙の報道を比較します。

安倍長官、日中関係改善に意欲 「歯車動かしたい」 朝日新聞

 安倍官房長官は3日午前、都内のホテルで開かれたNPOなどが日中両国の有識者を集めたシンポジウム「東京・北京フォーラム」であいさつした。「(日中関係改善に)私自身も力を注ぐ。お互いに遠慮して距離を置きながらの脆弱(ぜいじゃく)な友好から、正面から向かい合って議論し、摩擦を恐れずに対話を重ねるパートナーの関係へと歯車を動かしていこう」と語り、日中関係改善に向けた意欲を強調した。

 安倍氏は、日中関係の現状について「あこがれだけの関係は長持ちしない。交流が増え、議論すればするほど摩擦が生じることも避けられない。日中両国のように体制が異なる国の間ではなおさらだ」と指摘。両国の世論調査で「親しみを感じる」との回答が減っていることについて「産みの苦しみであり、真の相互理解に向けて通らなければならないプロセスだととらえることができる」と語った。

 また、「中国関係者がひんぱんに口にする軍国主義の復活などはほとんどすべての日本人の想像の域を超えるあり得ない話。中国の人々が我が国の姿を正しく認識して初めて建設的な議論がスタートできる」と中国側に注文をつけた。

 続いて中国の王毅駐日大使が「政治関係は近年来、周知の原因で停滞しているが、これは目にしたくない。一日も早く改められ、両国関係が再び正常、発展の軌道に戻るよう望む」と語り、間接的な表現で首相の靖国神社参拝の自粛を求めた。

2006年08月03日11時47分

安倍長官と王毅中国大使、靖国参拝めぐりシンポで対立 読売新聞

安倍官房長官と中国の王毅駐日大使が3日、都内で開かれた民間団体主催の日中交流のシンポジウムに出席し、靖国神社参拝問題を巡ってさや当てを演じた。

安倍氏はあいさつで、「日中両国は政治問題を経済関係に影響させてはならない。個別の問題が日中関係全体の発展に影響しないよう、直接の対話を通じて建設的に議論することが必要だ」と述べ、小泉首相の靖国参拝を理由に首脳会談に応じない中国を批判した。

 続いてあいさつした王大使は、「中日政治関係は近年来、ご承知の理由で停滞しているが、こうしたことは目にしたくない。こうした状況が一日も早く改められ、両国関係が再び正常発展の軌道に戻るよう望んでいる」と述べ、首相の参拝中止を求めた。

 さらに、「現状の問題をどう善処するかは、日本国民が自ら判断を下すものだ。日本側の賢明な判断に善意を持って答えていく」と語った。

(2006年8月3日12時2分  読売新聞)

官房長官、日中首脳会談再会を呼びかけ 産経新聞

安倍晋三官房長官は3日午前、東京・丸の内で開かれたシンポジウム「東京・北京フォーラム」で、日中関係について「政治問題を経済関係に影響させてはならない。個別の問題を日中関係全体の発展に影響させないように、直接対話でお互いを正しく認識し、両国の協力について建設的に議論することが必要だ」と述べた。靖国神社参拝について直接の言及を避けながら、小泉純一郎首相の靖国参拝を理由に途絶えている、日中首脳会談の再開を呼びかけた発言とみられる。

 また、「中国の関係者が頻繁に口にする『日本の軍国主義復活』などは、ほとんどすべての日本人の想像の域を越えるありえないことだ」と指摘し、「中国がわが国の姿を正しく認識して、初めて建設的な議論がスタートする」とも語った。

 シンポジウムでは王毅駐日大使も出席し、「歴史を正しく認識することが、未来の安定した日中関係の原動力になる。現状の問題をどう改善するかは日本の判断だ」と述べ、安倍氏と同じく「靖国」という言葉を避けながらも、暗に参拝の自制を求めた。

(08/03 12:05)

安倍官房長官:日中首脳会談の開催呼びかけ シンポで

安倍晋三官房長官は3日午前、非営利組織「言論NPO」などが東京都内で開いたシンポジウム「東京-北京フォーラム」であいさつし、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を理由に中国側が首脳会談に応じていないことについて「正面から向き合って摩擦を恐れずに対話を重ねる関係へと歯車を動かしていこう」と述べ、首脳会談の開催を呼びかけた。安倍氏はさらに「日本の軍国主義復活はありえない。中国の人々が日本の姿を正しく認識して初めて建設的な議論がスタートする」と語った。

 この後にあいさつに立った中国の王毅駐日大使は靖国問題について「我々は目にしたくない。歴史を正しく認識することは、真に未来に向けて長期的に安定した2国間関係を構築する原動力になる」と述べ、首相の参拝中止を改めて求めた。【犬飼直幸】

毎日新聞 2006年8月3日 11時17分

「言論NPO」は「論争 東洋経済」編集長、工藤泰志が2001年10月に立ち上げた特定非営利活動法人です。会員の会費と寄付で成り立っており、基幹会員は入会金10万円と年会費2万円、法人会員は入会費100万円と年会費2万円で、一般会員と学生会員がそれぞれ1万円、5000円、年会費無しとなっています。

しかし、新聞各紙で「言論NPO」の名前が出ているのは毎日新聞だけです。これには理由があります。

市民活動情報センターによると、「言論NPO」の商標登録出願が4条1項11号(先願に関わる他人の登録商標)違反で拒絶されています。

以下抜粋

特許庁は「言論NPO」は「NPO」と類似すると判断したのです。従いまして、「言論NPO」を新聞等に使用すれば、権利侵害になるものといえます。
 また、需要者の立場からみると、需要者は、「NPO」という題号の新聞等は非営利法人が発行元であると認識し、その活動を支援する気持ちで新聞等を買ってみたら、発行元は非営利法人ではなかったとなれば、需要者の利益を阻害することにもなります。そして、寄付等によって活動が支えられている非営利組織の活動を阻害する結果ともなります。
抜粋終わり

つまり、新聞等で「言論NPO」と名乗ればこれは権利侵害に当たるわけです。この権利侵害についてはいろいろな考え方がありますが、以下の例が参考になります。

特定非営利活動法人(Wikipediaより)

以下抜粋

従来の公益法人(民法第34条法人等)に比べ、設立手続きが容易である。このことから、法施行直後から、法人格を取得する団体が増加した。とくに、従前は任意団体として活動していた団体が法人格を取得するケースが目立つ。また、新規設立の場合は、いわゆるNPOの非営利性のもつクリーンなイメージが、法人格選択の理由であることも少なくない。

こうした中で、非営利性のもつ好感の得やすさを隠れ蓑に、事実上営利目的であったり非公益的活動を行ったりする例も増加した。とくに、企業業界団体の広報宣伝活動の隠れ蓑にしたり、犯罪に関与(暴力団悪徳商法)したりするケース等が目立つようになり、全般について見直しが進行中である。

内閣府は、市民による監視の一環として、活動が懸念される法人に対し「市民への説明要請」を実施することとした。この説明要請の内容、及び要請への回答については、すべて内閣府ホームページ上で閲覧できるという行政措置をした。この点についても法制化に向けて着手している。

抜粋終わり

「言論NPO」に対する司法判断は、角川書店の商標問題も関係していると思いますが、多分にNPOの定義から外れた活動をしていることも前提にあると思われます。

もっともポピュラーな例として、ジョンズ・ホプキンズ大学非営利セクター国際比較プロジェクトによるNPOの定義をあげると、

  1. 正式に組織されていること
  2. 民間であること
  3. 利益配分をしないこと
  4. 自己統治
  5. 自発的であること
  6. 非宗教的であること
  7. 非政治的であること

以上、7項目があります。

そこで「言論NPO」のHPを見ると、”日本の政治を監視する”として”マニフェスト評価”を行っています。まったくもって大きなお世話ですが、そのほかのコンテンツでも、”有権者自らが判断する”といいながら、「靖国参拝」反対論者で親中派の重鎮、ジェラルド・カーティス教授「小泉政治は日本をどう変えたのか」「小泉政治の功罪」があり、そして、”外国人は小泉改革をどうみたか”といいながら、「靖国参拝」を取り上げるなど、政治的な内容が多分に多く、内容も現政権に否定的に偏ったものになっています。

このことは、NPOの定義の第7項に抵触し、前述の”非営利性のもつ好感の得やすさを隠れ蓑に、事実上営利目的であったり非公益的活動を行ったりする例”の典型的な例であり、結論として「言論NPO」はある特定団体の利益を代表する圧力団体と位置づけることができます。

このある特定団体とは”朝日新聞のインタビューにおける王毅大使の応答要旨”の中でこの「言論NPO」が取り上げられているところから、中国共産党であることは間違いありません。

つまり、「言論NPO」が日中共同アンケートと称して、「靖国参拝」、「歴史問題」を取り上げる。当然ながら国民を統制している中国側のほうに圧倒的に否定的な結果が出る。その結果を元に「東京・北京フォーラム」なるものを設け、日本の世論に対して圧力をかけるというわけです。そのことは今回の”靖国参拝、「戦犯外せば容認」3割 日中世論調査”というアンケートに如実に現れています。つまり、今回、安倍官房長官は「言論NPO」の「東京・北京フォーラム」を通じて中共の不当な政治的圧力を受けたというわけです。

中共は、以前の強硬論では日本の世論を硬化させるだけだと理解し、懐柔論に切り替えてきています。このことは、王大使の「現状の問題をどう善処するかは、日本国民が自ら判断を下すものだ。日本側の賢明な判断に善意を持って答えていく」という発言によく現れています。つまり、日本世論を操作して、「靖国参拝」の是非を問うと公言しているわけです。読売新聞一紙のみがこの発言を取り上げ、かつ否定的な記事を書いているのはこのことをちゃんと理解しているからなのです。産経にはもっとしっかりしてもらいたいものです。

最後に日中友好7団体(別名売国セブン)が訪中したことは記憶に新しいですが、そのときに民間団体もいくつか呼ばれています。その中にはこの「言論NPO」も含まれています。

そのときの様子を報じた南方網の中に「言論NPO」を報じたものがありますので紹介します。(原文は中国語)

以下抜粋

今度の中国を訪問する日本の7団体はすべて中国の古くからの友人で、彼らと中国の源はとても深い。これらの古くからの友人の以外、中日関係が低潮の背景に陥る下に、中国側も力を入れて付き合ういくつかの新しい友達を始めて、新しい民間を開拓してルートを交流する。

日本の言論NPOはその中ひとつだ。言論NPOは日本の1つの精華の組織で、非利潤の団体ひとつで、日本の精華の人士にここで国家の大事を討論するように供えて、政府に向性の意見にそしてだから圧力を加えることを提供する。言論NPOのアジアの戦略委員会の中ですべていくつかのとても先輩の政治家と経済学者だ。

抜粋終わり

精華とはNPOのことかと思われます。つまり、中共自ら日本を隷属化工作には”今までの売国セブンのほかに民間団体も開拓”することが必要だとし、その為に「言論NPO」を通じて”非営利性のもつ好感の得やすさを隠れ蓑にして日本政府に対して圧力を加える”と公言しているわけです。

これで日中友好だって?冗談も休み休み言ってくれ。

スパイ防止法がますます必要だ!と思う方はクリック!(ブログランキングへ)

参考サイト

狂い咲き、NHK 酔夢ing Voice

|

« わかりやすい偏向報道 | トップページ | 小沢代表が太鼓判 »

コメント

◆8月7日より、都営地下鉄新宿線全車両まど上に、「危ない!人絹擁護法案」の広告を掲示します◆

平成14年3月8日、第154回通常国会に提出され、
翌年衆議院の解散によって廃案となった人権擁護法案。

しかし、平成17年2月、自公両党による人権問題懇談会によって、
前回の提出時に物議をかもしたマスコミ規制条項を凍結する方向で
第162回通常国会での提出の方針が決定されると、政治家・言論人・
そして名も無き一般の人たちによる熱い戦いが開始された・・・!

この本はその人権擁護法案の国会提出をめぐる戦いの中で、
反対派の人々が何を思い、何と戦ったのか、そして守るべき人権とは
いったい何であるのか、それら人々の率直な声を政治家マスコミ一般の別なく
汲み取ろうとして書かれたものです。

その中には郵政民営化を巡る混乱の中で与党を追われた政治家もいます。
あるいはマスコミがほとんど取り上げようとしないこの法案の危険性を
たった一人自分の記事で訴え続けたジャーナリストもいます。
そして、名も無き一般の人たち。彼らがいなければ、そして彼らの応援が無ければ、
この法案に反対する人々が断固として国会への再提出を阻止することなど出来ませんでした。

現在、この法案を巡る戦いは地方での条例という形で全国に広がっています。
どうか、この法案の危険性と、人権というあいまいなものを法で一律に括って
守ろうとさせる恐ろしさを知ってください。

まずは、都営地下鉄で8月7日からまど上電車広告の掲示を行います。
期間は9月6日までの一ヶ月間。これらはすべて有志によるカンパによって賄われました。
どうかご覧になってください。そして、確かにそこに有る危機を知ってください。

投稿: KAZU | 2006年8月 4日 (金) 21時24分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: いわゆる「言論NPO」:

» 「週刊金曜日」2006年7月28日号 [愛を知らなければ]
「週刊金曜日」2006年7月28日号(616号) 内容紹介 検証「小さな政府」 [続きを読む]

受信: 2006年8月 4日 (金) 21時17分

« わかりやすい偏向報道 | トップページ | 小沢代表が太鼓判 »