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2006年7月22日 (土)

「分祀論」を奇貨とせよ

今回の「天皇陛下のメモ」が発見された時、サヨクの方々、サヨクマスコミの面々は、挙って天皇陛下の公式参拝が途絶えた理由が、1978年のA級戦犯合祀を原因とし、靖国神社のA級戦犯分祀をいっせいに唱えた。

が、そこには微妙な温度差が見え隠れしている。

以下に、各新聞社の7月21日付社説を紹介します。

A級戦犯合祀 昭和天皇の重い言葉 朝日新聞 7月21日付 社説

昭和天皇が靖国神社の参拝をやめた理由が、A級戦犯の合祀と断定、参拝を平和国家として生まれ変わった戦後の歩みを否定する行為とした。

そして、昭和天皇の靖国参拝を自然な行為とし、三木武雄首相が私的参拝したことを理由とすることは間違いだと断定。

そして、今の靖国神社では、現在の天皇陛下も参拝はできないとし、参拝自体は肯定している。

[A級戦犯合祀][靖国参拝をやめた昭和天皇の『心』] 読売新聞 7月21日付社説

読売新聞は冷静に対処。昭和天皇の参拝されない理由について「A級戦犯合祀」なのか、「公人・私人」の政治問題を避ける為なのかとして、今回のメモの発見で、「A級戦犯合祀」がその理由ではないか?としている。(文中では一区切りついたとしている。ある意味用意周到。心の中では胡散臭い思いがあるのか?)

そして、分祀は不可能との見方を示した上で、国立追悼施設の建立、あるいは千鳥ヶ淵戦没者霊園の拡充などの方法を考えるとしている。

昭和天皇メモ A級戦犯合祀は不適切だった 毎日新聞 7月21日付 社説

富田メモの史料価値は高いと最初から印象操作。(メモの資料的位置づけは、4等資料であり、史実的にはほとんど価値が無い。日記であればなおさら。)

これまで、昭和天皇が靖国神社参拝をしなくなった理由としてA級戦犯合祀とし、天皇の”靖国参拝中断はマスコミが騒ぐせいだという声高な反論”については、はっきり否定。

そして、昭和天皇は、総理大臣の公式参拝にも反対の立場だったと捏造し、戦前の靖国神社への天皇による親拝を本質とし、戦後の宗教法人になって皇室から独立した後は、天皇の私的参拝(←明らかな捏造)として継続されていたが、神社側のA級戦犯合祀のせいで途絶えたと断定している。

最後に、靖国参拝が内外で大きな議論を呼ぶのはA級戦犯合祀に原因があるとし、分祀前に首相が靖国神社に参拝するのは、適切ではないとしている。

昭和天皇の思いを大切にしたい 日経新聞 7月21日付 社説

のっけから昭和天皇の靖国参拝が途絶えていた理由が、A級戦犯合祀にあり、その証拠として富田メモという信頼性の高い具体的資料によって裏付けられたとしている。

そして、富田メモによって、昭和天皇の意向がはっきりしたとして、三木元首相の「私的参拝」を理由とする論拠はほとんど無くなったとしている。

戦没者に対して深い哀悼と感謝の念をささげることは当然として、靖国参拝は否定すべきでないとし、A級戦犯合祀のみがそれを難しくしている問題だとしている。

最後に、関係者が適切に行動し、A級戦犯分祀に向けて動き出すべきだと結んでいる。

富田長官メモ 首相参拝は影響されない 産経新聞 7月21日付 社説

富田メモでは、14人全員のA級戦犯合祀に不快感を示した根拠にはならないとし、よって分祀の根拠にはなりえないとし、政界の動きを牽制している。

三木首相の私的参拝強調により、政治問題化を避けるために中止したのか、A級戦犯合祀のために参拝を中止したのかはわからないとし、富田メモも後者を補強する一資料にとどめている。

そして、28年8月の国会で「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」が全会一致で採決されたことに触れ、小泉純一郎首相は、国民を代表して堂々と靖国神社に参拝してほしいと結んでいる。

おまけ 昭和天皇も問題視していた靖国参拝 朝鮮日報 7月21日 社説

富田メモによって、靖国参拝を戦没者に対する追悼へと意図的に歪曲・縮小したとし、根拠が崩れたから参拝をやめろといっています。(平常運転ですね。おかしなところはありません。)

こうやって、各紙社説を見てみると、朝日、毎日、日経がA級戦犯分祀派、読売がやや冷静、朝鮮日報が支離滅裂、そして、産経一社のみが参拝肯定派だと分析できます。

が、ちょっとまってほしい。朝日、毎日、日経の主張がほぼ同じではないか。

この3社+読売は、以前より親中派とされ、論説主幹が中国大使館にいるとまでいわれています。中でも、記憶に新しいのは、今年12月28日の朝日と毎日の靖国参拝批判社説でしょう。

それはちょっとおいといて、まず中身について述べたいと思います。

昨日の記事内で電突した内容を見ればわかりますが、この3社は致命的なミスを犯しています。

それは、毎日新聞が社説内で述べているように、天皇陛下についても首相と同じように私的参拝ができるとしている点です。朝日、日経についても、記事内で三木首相が私的参拝を強調したことは、天皇陛下の靖国参拝を妨げる理由にならないと断定している点から言って、毎日新聞と同等に考えている節があります。「公的には当然ゆるさないが、私的に参拝すればいいじゃないか」と。それは、天皇陛下の靖国参拝について、3社とも肯定的な意見を言っている点からいっても、まず間違いないと思われます。

しかしながら、彼らは重大な思い違いをしています。

天皇陛下は、朝日、毎日の大好きな日本国憲法によって、日本の象徴と規定され、その行動は公的な国事行為とされており、私的な行動はできないのです。

つまり、3社が言うように障害(A級戦犯)が取り除かれれば(分祀されれば)参拝が可能だと主張するのであれば、天皇陛下が公式参拝(自然にそうなります)されても反対しませんと主張することと同意となるわけです。つまり、それは首相(公人)の公式参拝にも反対しないと言うことと同意ということになります。

その点、読売新聞は実に冷静に対処したといえます。産経新聞は常識的に、そして、朝鮮日報は韓国の右派新聞の面目躍如といったところでしょう。ある意味正しく、そしてわかりやすい主張です。

では、なぜこんなことになってしまったのでしょうか?

mumurさんは、自身のブログでこのように語っています”毎日の社説子も朝日の社説子も自分の考えで靖国反対を唱えているわけではなく、中共様のご意向を受けた宣伝屋であると。”

つまり、最近の中国共産党の対日協調工作を、各誌ともにそのまま反映させた結果だということです。そこには自分たちの考えなど存在しません。

中国共産党は、小泉首相の対中外交により、従来の靖国参拝に絶対反対の立場から一部反対へとトーンダウンしてきています。それは、今までの強硬論が、日本の世論を硬化させてしまったという反省からともいえますが、それ以上に国内事情が抜き差しなら無い状況に来てしまっているというのが一番の理由といえます。

つまり、中共は相当追い詰められており、8月15日の靖国参拝だけは何が何でも阻止する必要があるわけです。

そこで、今回訪中してきた古賀誠元幹事長の分祀論に乗る形で、A級戦犯の合祀が日中友好の障害であるとした上で、もし分祀されるのであれば靖国参拝を認めるという発言(一種の懐柔論ですね)につながったわけです。そして、日本国内の分断工作として、富田メモを公開させたと思われます。

つまり、今回の社説の矛盾点は、中共の宣伝屋である朝日、毎日、日経がたいした疑問も持たずに中共様のご意向通り記事を書いたところ、今までの主張と整合性が取れなくなってしまったことを意味しています。(読売新聞だけ主張が違うのは、そこに気が付いていたからだと思われます。)

それは図らずもやつらに一貫した主張など存在しないことを証明してしまいました。

これは、中共に限らず、外交政策の変更と見れば、まぁよくあることなんですが、新聞社としては致命的であるといわねばなりません。

以上、長々と述べてまいりましたが、今回の事件は、靖国参拝に賛成し分祀に反対する立場の者にとっては奇貨とする出来事であるといえます。つまり、”焼きが回ったな朝日・毎日・日経新聞よ”というわけです。

当初より、古賀誠元幹事長の主張する分祀論は、靖国神社に合祀されているA級戦犯を「外国人を含めより多くの人々がわが祖国に殉じた英霊に参拝されるようにするには、戦没者でない一部の英霊を分祀することも検討の対象となろう」とする論理であり、まず参拝ありきという論理なのです。

つまり、分祀してないから反対、公的な参拝にも反対はもう通らんよってこと。私は今後、そういう場面を見るたびに電突してやります。

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